ピアノ調律師を目指そうと思った時にまずやるべき8つのこと

調律師になるためには専門学校に通うことが基本的には必要になりますが、本記事ではその前の時点でやるべきことを8つ、箇条書きにまとめてみました。

先日中学3年生の方からこの質問を頂いたので許可を取って記事にしています。回答は僕がやってよかった事・やっておけばよかった事になります。

トシブログでは調律師関連の記事をいくつか書いてますので、こちらも参考にしてみてください。

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1,イヤホンとヘッドホンは捨てる(耳の保護)

イヤホンやヘッドホンで音楽をずっと聴いていると高い振動数の音、つまり倍音が聴きづらくなります。これは調律師にとっては致命傷になります。

仕事をしているとレコーディングの際に付ける必要がある時もありますが、それ以外では飛行機の中も含めて絶対に使わないようにしています。

その代わりになるもので骨伝導イヤホンというものがあり、僕はこれを愛用しています。詳しくは別の記事にまとめています。

ピアノ調律師が薦める骨伝導イヤホン~AfterShokz~

2,ピアノ以外の音楽も聴くようにする(聴き方)

調律師を目指す人はピアノの曲だけを聴きがちになります。僕もそうでした。

ですが、ピアニスト達はピアノを使って別の楽器の音や歌声も表現しようとしています。この音のイメージを共有するためには調律師自身もオーケストラや歌曲、室内楽、オペラ、オルガンなどを聴いておく必要があります。

僕が過去にやった方法はピアノが含まれている音楽を半年禁止しました。ピアノの伴奏が入っていればNG。コンチェルトもNG。仕事ではピアノを触るのですが、音楽を聴くときはとにかくピアノ以外をずっと聴くようにしていました。

それから半年経ってピアノを解禁すると「あること」に気付きます。

それはピアノソロで「ピアノの音だけ」しか聴こえないCDと、「ピアノ以外の音」もピアノから聴こえるCDがあるという事でした。
メーカーや会場、録音技師さんにもよりますが、コンサートを聴きに行ってもその違いがはっきりわかるようになりました。

今はオーストリアで仕事をしていますが、日本と比べると教会のミサがあったりオーケストラの音も含めて音楽が生活の中に根付いています。なのでピアノからピアノの音しかしないとまず間違いなくクレームが入ります。

実際ピアノ以外の音楽を聴いてみると、そこにはピアノ以上に魅力的な音源がたくさんあります。ぜひ興味のあるものから聴いてみてください。

3,一流と言われる人のコンサートに足を運ぶ(感動体験)

音楽を聴いて涙を流したことはありますか?

このような感動体験をしておくと調律師人生に大いに役に立ちます。この感動に自分が携わることが目標になりますし、ピアノを通じて人と関わることで普段のモチベーションアップに繋がります。

4,高校はジャンル問わないので強い部活に入る(根性)

こんな事言う方は少ないと思うのですが、中学生の方であればこれが最重要に感じます。手に職を付けるという事は簡単な事ではありません。

ピアニストだけではなく一般の方のお宅にも調律に伺うことがあるのですが、その業界のいわゆる第一人者の方と話をするとこの話題が出ることがよくあります。

シンプルに根性が付くのと、それに没頭している仲間たちと一緒に自分も深く熱中することは、技術を身に付ける助けになります。

部活に入らずピアノを一生懸命弾いていたという方もいますが、意外にもこういう方はすぐに辞めてしまいます。

5,英語など外国語1つを高校の間にペラペラになるまで勉強(聴き方)

これは海外の調律師さんや音楽家の方とコミュニケーションをとったり、技術書を読めるという目的もありますが、1番は音の聴き方のためです。

種類に関わらず楽器の音の聴こえ方はその国の言語ととても近い関係にあります。ピアノの曲に歌詞は付いていませんが、ピアノを歌わせたいとなった時にはピアニストは歌詞が付いているかのように演奏します。

その時にピアノが日本語の発音しか出ない状態になっているとピアニストによってはとても困ってしまいます。これを読んでもピンとこないと思いますが、外国語が話せるという事は調律においてもメリットがあります。

僕は30過ぎてからドイツ語を始めた事もあり今でも苦労していますし、10代の時にやっておけばよかったといつも思っています。

6,学校生活を本気で楽しむ(コミュ力、というか1番大切)

調律師はピアノを相手に仕事をするわけですが、ピアノの向こうには弾き手がいます。社会で仕事をするという事はやはり相手は人間になるわけで、良い仕事や良い関係を築くためにはやはりコミュ力が重要です。

また、調律の時にレベル関係なくピアノのタッチや音への要望があったりするわけですが、「赤い音にしてほしい、もっと宇宙が見たい」などの抽象的な表現だったりするわけです。これをピアノのメカニックなどに言語変換しないといけない時がしょっちゅうあります。

さらに言うと弾き手が何も言わなくても、やるべき作業がわかるくらいの察知能力、ある意味ではこれもコミュ力でしょうか。このような対応力があると信頼も増して良い仕事が増えていきます。

ただ1番大切なのはコミュ力関係なく高校生活は3年間しかないので、シンプルに全力で楽しんでくださいという事です!

7,家にピアノがあれば調べて調律をやってみる。

せっかくピアノがあるのであれば道具を買って自分でやってみるのもありだと思います。

市販されている本にやり方など載っていますし、親切な調律師さんが見つかればやり方を教えてくれると思います。

ピアノの調律は一歩間違うと修理が必要になることもあるので、まずご両親の許可を取って、教えてくれる調律師さんを探してみてください。

8,僕でもいいのですが、もっと一流の現場で活躍されている調律師さんに同じ質問をする。

オーストリアに来てからよく感じることですが、日本のコンサートホールのピアノの良さは世界中のピアニスト達から賞賛されています。「どこのホールに行っても全てのピアノが整備が行き届いた状態になっていて、こんな事は日本でしかありえない。日本で演奏する時は何の不安もなく自分の音楽に集中できる。」みたいな話をよく聞きます。

これは間違いなく現場にいる調律師さんが超優秀だからであり、ぜひこういった最前線で活躍されている調律師さん達に同じ質問をして頂きたいです。
(なんなら僕が同じ質問をしてなんて答えるのかを知りたいくらいです)

さいごに

ここまで調律師になるにはというテーマで書いてきました。

日本の調律師人口が激減しているので、こういった若い人から調律師になりたいという相談を受けるのはとても嬉しいです。10年後くらいに「あの時質問した〇〇です」なんていう風にお会いできるのを楽しみにしています♪

以上になります。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
としさん