親御さんが昔弾いていたピアノを実家から運ぶ前に考えるべきこと

親御さんが子供の頃に練習していたピアノを今度はお子様が弾くって素敵なことですよね。思い入れのあるピアノだったりするとなおさらです。新しくピアノ買うよりこの方がいいに決まってます!
ただそのピアノ、長らく誰も弾かず調律もせずに実家に置いてあるという事が多いと思います。実はこのシチュエーション、落とし穴があって場合によってはかなりお金が掛かってしまいます。時によっては中古ピアノが買えるくらいになることも。

本記事では、この落とし穴を避けるために、実家に置いてあるピアノを運ぶ前に考えるべきことをテーマに調律師としての経験を元にまとめました。実家から持ってこようか別のピアノを買おうか悩んでいらっしゃる方は是非参考にしてください。

運ぶ前に下見

過去に何回かあったのですが、ご実家から運ばれてきたピアノの調律に伺ったところ、状態がかなりひどく調律すら出来ない状態。音関係なく使える状態にするために中古ピアノ以上の金額の修理が必要でした。この方々は移動にかかった運送費を捨てることになり別の中古ピアノを購入されました。

ご実家が遠い場合は難しいかもしれませんがご両親に立ち会ってもらう方法もあるので、可能であれば運ぶ前に一度調律師さんに下見してもらうのを強くオススメします。

下見内容は以下の4点です。
どんな状態なのか。
そもそも使えるのか。
使えるようにするのにいくら掛かるのか。
直したとしてどれくらい長く使えるのか。

この診断は調律師さんによってかなり違いますし、持ち主の希望によって提案する内容も変わってきます。不安な方は下見代がかかっても複数業者さんにお願いしましょう。

クリーニング

ご実家から運ぶとなると、ピアノ運送屋さんや下見に来た調律師さんからこの提案があると思います。移動する事なんてこの先ないから、このチャンスに一度クリーニング専門の工房に運んでピアノをキレイにしましょうと言われるはずです。プロがやるとビックリするくらいピカピカになります。お子様がこれから弾き始めるピアノだからキレイであってほしいですよね。

ただこのクリーニング、“ピアノ”としての性能はそんなに変わりません。弦の錆など気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、錆を落とすときに弦に傷が入ってしまうので真っ赤になっているとかでなければ僕ならそのままにします。

そんなにピカピカにならなくてもいいという方は、ピアノの中身、つまり音に関係する部分にお金を使った方が良いかもしれません。これは本当にピアノ1台1台違いますし、持ち主の考えも違うので正解はありません。

今までの経験から言うと見た目はキレイでも弾きづらいピアノ、あるいは音が良くないピアノを子供は弾きたがりません。ただ逆にあまりにも汚れていたりするとこれはこれで触りたがらないです。

もし多少お金を掛けてもいいという場合には、クリーニング業者さんには外装のクリーニングのみをお願いして、弦などの音に関係する部分は普段からその仕事を専門にしている方にお願いするのをオススメします。

長年弾かれず調律されていないことについて

これは別の記事に詳しく書きますが、最低でも普通の調律料金の3倍は掛かると思ってください。この金額が一度にどかんと掛かる場合もあれば、最初の1年の間に3回くらい調律が必要というパターンもあります。

よく言われるのが、「うちのピアノは確かに15年以上調律していませんが、その間誰も弾いていないので悪くなっていないと思います。」です。

これは大きな間違いで、15年以上誰も弾いていないというのはピアノにとっては大きな問題です。15年誰も乗っていない自転車を想像してください。すぐには乗れないはずです。

10~15年調律されていないピアノについての記事

さいごに

ここまで、実家からピアノを運ぶ際の注意点について書いてきました。

問題なく使えるのであれば別のピアノを買うよりずっといいですし、このような相談を受けた時には必ずまず下見をしてから運んでくる方向で話をしていました。

日本で働いていた時には調律で日本中飛び回っていたので、結構遠くの地方までピアノの下見に行ったこともあります。ご実家が離れていると運送料だけでかなり高くなるので、使えないなんてことは絶対に避けたいところです。

以上になります。
この記事が少しでも何かの役に立てばとても嬉しいです。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん