自分でピアノの調律してもいいですか?

SNS上でご自身で調律していますという人をたまに見かけます。過去にはピアノの先生のご主人様が結構上手に調律されていたなんてこともありました。

本記事では調律師ではない人が調律することについてのとしさんの本音、調律師と一般の方の違い、調律をする際のリスク、それからどうしても試したい人のために道具を手に入れる際に気をつける事とオススメのセットについてまとめました。ここでの「調律」はタッチ調整や整音は含まずに音程合わせのみについて注目します。

※このテーマについては調律師さんによって意見がはっきり分かれます。あくまでもとしさんの個人的な意見として参考にしてください。

としさんの本音

これは趣味の方とプロの方で分かれます。

趣味の方へ

もちろん調律して全然OKですが自己責任でお願いします。ただあまりオススメは出来ません。

まず本音を言うと、ご自身で調律を試してみたくなるくらいピアノに興味を持って頂いていることがとても嬉しく思います。車とかバイクで言えば自分でカスタムするようなものですもんね。でもそのためにはやはりお金が掛かるものです。調律の場合は何かあった時にはパーツや修理・手直しに結構お金が掛かります。簡単には元に戻らない時もありますし、バラ売りされていない部品もあるので最悪たった1つの部品のために88鍵盤分のパーツを買うことになります(超高いです)。これを了承した上で試して頂くのが第一条件です。

プロの方へ

簡単な調律は出来てほしいです。具体的には新しい弦の調律。
今ピンときている方もいらっしゃるかもしれません。

弦が切れると当然新しい弦を張るのですが、この新しく張られた弦、びっくりするくらいあっという間に狂います。ピアノを弾かない人でもわかるくらい変な音になります。
ですのでこの新しく張った弦をとなりの弦と比べながらなんとなく近い音まで調律出来るくらいだと理想です。ぴったりである必要はありません。
なぜかというと調律師さんはその新しい弦だけのために出かけるという事をほとんどしませんし、たまたま近くを車で通るタイミングが合えばラッキーですが、運が悪いと何週間、何か月と狂ったままになります。タイミングが合わないからといってたった1音のためにわざわざお金払って来てもらうのも嫌ですよね。

また現実には特定の音だけ弾いていたら狂ってしまったという事もあるかと思います。こういった時にも1音だけのために調律師さんには連絡しづらいものです。
ですがこの簡単な調律が出来ればこういった心配はありません。

調律師さんが来た時にビデオを撮りつつ教えてもらえば出来なくはありません。そこで出来そうと判断すれば簡単な道具を買う。やっぱり難しそうであれば無理をしないのをオススメします。

リスク

一般の方が調律したピアノに起こりがちな症状について紹介します。

弦が切れる。

これはシンプルです。弦を引っ張りすぎ、あるいは道具の使い方が悪く弦が変にこじれてしまった時に切れます。弦が切れてしまったら調律師さんを呼ぶしかありません。

チューニングピンが緩くなる。

弦が巻き付いているピンです。このピンが約70キロ(低音は90~110キロ)の張力に耐えています。このピンは鉄骨の下の木に刺さっているのですが、一般の方が調律するとこの木の穴が拡がってしまいピンが緩くなってしまいます。緩くなると物理的に調律が狂いやすくなりますし、張力に耐えられなくなってしまった時にはピンを太いものに交換しなければなりません。最初に書いたピアノの先生のご主人様が調律したピアノも物理的に狂いやすい状態になってしまっていました。

木の穴が拡がる原因は音を合わせるために何度も音を下げて上げてを繰り返すことです。調律師はピンが緩くならないように可能な限り最小限の動きで音を合わせています。

プロの調律師は何が違うのか

ご自身で調律をされた方は“音が合うけどすぐ狂ってしまう”という体験をされるはずです。これはピンの回し方が大きく関係しています。

綱引きを想像してください。

弦という綱を引っ張らないといけないわけですが、一般の方が調律をすると綱引きで言う腕のみの力で張力に耐える状態になります。小学生くらいだと後ろを向きながら引っ張る子供がいますよね。弦は常に強く引っ張られているので、そこでちょっと強く弾いただけでその張力に耐えられず狂ってしまいます。

プロの調律師は弦の張力だけではなくピンの状態も同時に調整しています。そうすると綱引きでいう身体全体で支えられる状態が作られて張力にも耐えることができます。

音程を合わせるだけではなく、その音程が長く保持されるようもしているのがプロです。

調律道具の選び方について

としさんの工具です。ピアノに合わせて変えています。赤いフェルト(ロングミュート)は中音の平均律用、その横はフェルトウェッジという特定の弦だけ鳴るようにするためのもの、木の棒(棒ウェッジ)はアップライトの高音用です。これはパップスミュートという青いプラスチックのものでも代用可能です。

この記事を書きながらアマゾンで調律道具を検索して驚きました。まあたくさんの種類の商品があること。何年か前は数種類しかなかったので、少しずつご自身で調律をしてみたいという方が増えているのでしょうか。ピアノ調律工具の専門店はあるのですが、どこも調律師以外には売ってくれません。ですのでネットで買うという前提で注意点を書いていきますね。

タッチ調整のための道具も入ったかなり高いセットもありますが、今回はシンプルな調律(音程合わせ)のための道具についてです。

大切なのはチップ

ご自身のピアノを調律する際に最も重要なポイントはチップと呼ばれるピンにはまる部分です。ここが合わないと調律が出来ません。そしてピアノによってこのピンの太さが違うのですが、2番の大きさが付いていればとりあえず一般的なピアノには対応できるはずです。ちなみに僕の好きなチップはY2です。このチップのはまり具合については調律師の間でも好みとされています。とりあえずピンが回ればOKです。

アマゾンの商品の説明にこのチップの種類が書いていないのが問題です。
レビューの中にチップだけは専門店で買えたというものもあるので、とりあえず買って試してみてもいいかもしれませんね。チップは1500円くらいからとしさんが持っている中だと30000円くらいするものまであります。でも1500円のも品質は悪くないです。
ここからAmazonで買うならこれかなというのを紹介していきます。

まず必要なものだけが入っているセット。これでグランド、アップライト対応可能です。アップライトピアノの高音はパップスミュートです。5000円くらい。
ちなみにプロ用の調律スタートセットは似たような内容で2万円以上です。

ピアノ 調律工具13点セット チューニング用品 ケース付き

続いて余計なものが入っているけどその割には安いセット。としさんと同じ木の棒(棒ウェッジ)も入っていますし、フェルトウェッジも2種類。でもノギスは使わないかな。6500円くらい。

FLAMEER ピアノ 調律工具約36点セット

カーボン製のチューニングハンマー、これはハンマー単体です。価格は18000円くらい。ちなみにプロ用のカーボン製はドイツ製で5万円します。ヨーロッパで今1番使われているのはこのタイプです。カーボン製なのでとにかく軽い。持ち歩くことはないと思うので軽い必要はないと思いますが、ピアノを傷つける心配は少ないかもしれません。
このハンマーがピアノの横に置いてあったら調律師さんはビックリします。

Muslady ピアノ調律レンチ チューニングハンマー カーボンファイバーラッピング ローズウッドヘッド ステンレス鋼レバーチップ ピアノ調律用 アクセサリー

これはピアノに興味のある全ての人にオススメしたい本です。5000円くらい。調律には色々な考えがあるので書いてある内容全てその通りとは思いませんが、必要な知識が写真付きで楽しく学べます。日本でもたくさんのお客様にオススメしました。
レビューにもありますが、調律師さんと仲良くなりたい方にもオススメです。

ピアノ・マニュアル 日本版

さいごに

ここまで自分で調律できるものなのかというテーマについて書いてきました。最初も同じことを書きましたが、調律に興味を持ってもらえるのは本当に嬉しいことです。ですがリスクも大なり小なりあります。試す時には普段来られている調律師さんにやり方を質問してみたり、本などで勉強してからにしてくださいね。ちなみに調律代の節約のために自分で調律しようという方、損する可能性の方が圧倒的に高いので気をつけてください。
チューナーに関してはプロ用のものもあるのですが、10万円以上する上に正確に使うにはやはり自分で色々な設定をピアノごとにしなければなりません。とりあえず最初は無料のアプリで試してみると良いと思います。

以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん