ピアノのオーバーホールとは?ピアノ修理の「松・竹・梅」

“オーバーホール済“。中古ピアノを探しているとたまに見かけるこの文字。僕が日本で働いていた時に、初めて伺ったお客様に「10年前に一度オーバーホールしました」と言われて、ピアノを見てみるとオーバーホールされた形跡はまるで無いという事も何度もありました。この言葉、ピアノの修理を意味しているのですが調律師さんによって使い方が違うようです。

本記事ではオーバーホールとは何かということについてまとめてみました。具体的にはオーバーホールの種類についてです。中古ピアノを探されている方、調律師さんからオーバーホールを薦められているが正直ピンときていないという方にとって役立つのではないかと思います。

※この記事ではオーバーホールって色々な意味を持つ時がありますという内容で書いています。調律師さんがしっかり説明をして、そのピアノの持ち主が内容をしっかり理解していれば、この言葉の解釈が調律師さんによって違っても全く問題ないかなと思っています。

オーバーホールとは

ピアノの修理の事です。正確に言えば不具合直しのような修理ではなく、普段出来ないまとまった作業が必要な修理になります。Youtubeによく出ている、僕も会ってみたい調律師さんがこのオーバーホールについて「松竹梅あるんです」って言っていて、正にその通りです。
この松竹梅について書いていきます。

オーバーホールの種類~松竹梅~

竹と梅に関しては、「オーバーホールした」と仰っていたお客様のピアノに実際にされていた修理の内容になります。ここに書く以外にもパターンはあると思います。

弦からチューニングピンからハンマー、メカニックから鍵盤の消耗部品から全て完璧に新しいものに変える修理です。響板も割れていれば修理します。ほぼ新品と同じ状態にするといって良いでしょう。フルオーバーホールなんて言ったりします。全部を新しくするだけではなく、パーツに使われている木材が今はほぼ入手不可能なくらい良い素材だった場合、その木の部分を残しながら付いているフェルト類金属類を新しく交換するといった判断をする時もあります(この場合、時間がかなり掛かるので通常よりも高くなります)。また鍵盤はそのまま消耗部品のみ変えるのが一般的ですが、鍵盤ごと新しくしてしまう時もあります。

弦とチューニングピンだけ交換してあったパターン。
または弦は交換せずにメカニック部分が交換してあったパターンです。

”松”が本体(弦を含む)とメカニック部分を両方とも完全に修理されていたのに対して、竹ではこのどちらかのみ修理されていたという事になります。

どちらのパターンもピアノごと家から運び出したそうです。

ハンマーと鍵盤の消耗部品のみ交換してあるパターン。
メカニックの一部分が修理されていたという事です。

この方は全部新しくなっていると思っていたそうなのですが、現実にはハンマーが付いている棒やローラーと呼ばれる部分はそのままでした。ただこれに対してお客様が支払った金額は適正価格だったので、余分なお金を取られたわけではなく調律師さんの説明不足だったのかなと思います。

ハンマー交換をした場合必ずタッチの重さの調整をしないと逆に弾きづらくなってしまうのですが、このタッチウェイト調整がされていないピアノをよく見ます。(例のYoutubeの方も同じ状態のピアノについて説明されていました。)

梅以下

ハンマーは交換ではなく削られていてキレイになっているだけだったパターン。鍵盤の消耗部品は交換されていました。これは修理というよりは大きな調整と言った方がしっくりきます。おそらく中身ごと持ち帰ったためオーバーホールという言葉を調律師さんが使われたのかもしれません。もちろんお客様が勘違いされた可能性もあります。
このお客様が支払った金額は確か調律代含めて10万円ちょっとだったので、作業に対してはかなり安い部類に入るかと思います。

松以上

これはリビルドと言われている、響板も新しくして完全に新しいピアノになる修理の事です。よくピアノの工場に持ち運ばれてされています。日本でドイツ製のピアノをリビルドしようとなったらそのピアノと同じ値段くらい掛かる可能性もあります。

オーバーホール費用について

これは調律師さんや修理工房によって様々です。ピアノによって必要な作業も違いますし、パーツ代も変わってきます。またパーツにも松竹梅のようなランクがあり費用は大きく変動します。

どれくらい料金に差があるかの例をここであげると、グランドピアノの弦を全て張り替えるとして、ある会社は30万円でやりますし、ある会社は最低価格が120万円です。

このように色々な価格設定があるのですが、この料金が必ずしもクオリティーと一致するわけではないというのがこの業界のリアルです。また値段が安いからといってお願いしたら修理前より悪くなったという話も聞きます。

オーバーホールについて誰もが一番知りたいのは費用の事だと思いますが、あまりにもシチュエーションが多過ぎて価格の相場をここに書くのが難しいです。これについては「オーバーホール、実例」で検索するといくつか例が見れますので参考にしてみてください。

さいごに

大事なのは、どちらにしても高いお金が掛かることなので内容と費用共に100%納得した上でお願いするべきという事です。このオーバーホールは内容によってこの先使っていける年数も変わってくるので、信頼できる調律師さんとじっくり相談した上で決めましょう。

以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん