【ピアノ探し】調律師が考える新品と中古の違い

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ピアノを探されている方から結構な頻度で頂く質問、「新品と中古どっちが良いんですか?」

新品と中古の違いという事で当たり前な事と意外と知られていない事について、調律師としての個人的な考えを書いていきます。ピアノを探されている方、またピアノの先生をされている方は生徒さんから質問を受けた時に役に立つ内容かもしれません。

新品と中古の定義

“新品”というのはとにかく全てが新しくて今まで一度もどこかのお宅に置かれたことのないピアノの事と言えます。逆に中古というのは、一度どこかのお宅や場所に運ばれてそこで弾かれたピアノをさします。ですので、「30年経った中古」、これは普通によく見るパターンですが、1年、あるいは半年だけどこかの家で弾かれた後に何かしらの理由でお店に戻ってきたらそれは中古になります。
“新古品”なんて呼んでいるお店もあるんじゃないかと思います。

その逆に新品だけどずっと売れなくて展示品として長く置いてあるピアノ。要は新古品より古い新品のピアノというのもあるという事です。
ここから少しずつリアルな話になります。

中古ピアノのリアル

まず中古についてです。中古というと何年、あるいは何十年と弾かれていたピアノになりますが、ピアノの中にはたくさんの消耗部品というものがあって、これらが交換されているのかどうかという部分が結構ピアノによって違ってきます。

これが全部交換されてあればいいかというとそうでもありません。ちょっとリアルな話にはなるんですが部品を新しく交換すれば交換するだけピアノの価格はどんどん高くなっていきます。こういった理由から、まだ大丈夫な部品は価格を押さえるためにそのままにしておく、あるいは現状のままで調整をしっかりして販売みたいな判断をする時は十分にあります。
ちなみにこの部品の消耗度合いというのは調律師でないと見抜くのは本当に難しいと思います(正直なところ消耗していないように見せる事も出来たりします)。

これはさておき中古のピアノを探す時には、普段弾くであろう量に対してそのピアノがこの先どれくらい快適に弾くことが出来るのかみたいな事は聞いてみてもいいかもしれません。ですが、誰が弾くのか、どんなレベルの曲を弾くのか、お部屋の環境や調律の頻度などによって大きく左右される事なのでケースバイケースと言われる可能性は十分に考えられます。

新品のピアノのリアル

続いて新品のピアノであまり知られていない事について書いていきます。例えば家電やスマホを買うとなった時は新品=安心+快適を買うみたいな考えがあると思います。これはピアノにも当てはまるんですが、一部家電などと違う部分があります。

それは新品のピアノは最初の数年、調律が狂いやすかったり、あるいは鍵盤が元の位置まで戻らない、音が止まらないみたいな不具合が中古と比べて起こりやすいんです。これはピアノの部品、例えば弦から木材からフェルトまでが新しくて、新しい環境に合わせて縮んだり膨らんだり、あるいは伸びたりと変化することが原因です。新品の家電とピアノで何が違うのかをあえて言うと、ピアノは生きているという事です。

「若い」ピアノという表現


ドイツ語でピアノについて話す時に、新品については新しいという単語で表現するんですが、これが一度ピアノを弾く方のところへ運ばれた瞬間から新しいではなく「若い」という単語・表現を使うようになります。

例えばピアノが運ばれてから初回の調律でお客様に何かを説明するときに「このピアノは新しいから」ではなく「このピアノは若いから」あるいは、「生まれたばかりだから」みたいな表現を使います。 人間で言えば赤ちゃんって手が掛かりますよね。それが成長に伴って手が掛からなくなってきて、歳をとると色々と若い頃と同じようにはいかなくなっていくと思います。これがピアノにも同じことが言えます。

ピアノの新品は最初の数年中古よりも手が掛かります。それはピアノは生きているから、生まれたばかりだからという事になります。これはある意味新品のピアノの良いところ、最初から育てていける、あるいはお子さまと一緒に成長していける、音もどんどん変わっていくので、「育てる」のも楽しみの1つという事になります。

これに対して中古ピアノは気に入った音が鳴っていれば、それを最初から楽しむことが出来る。「一目ぼれした音でそのまま楽しめる」、これが中古の良さだと僕は思います。また中古ピアノを探される場合、新品と最初から決めている方よりもたくさんのピアノ屋さんを見に行く傾向にあります。この運命のピアノを探す時間が今思えばとても楽しかったなんてお話をお客様からもよく聞きます。

【意外】長期展示ピアノについての私見

ピアノを探されている方と一緒にピアノ屋さんへ行って意外と言われることがあります。それは、新品・中古に限らず長期展示しているピアノは意外と狙い目だったりします。
それはピアノ屋さんって基本的に温度湿度が良い環境で、さらに定期的に調律調整がされているのもあって、音が気に入ればお得な事が多いです。

何回か同じ店に足を運んで、いつも同じピアノがあるなんて思うとネガティブな印象になる方が多いと思うのですが、調律師視点で見た時には意外とそうでもなかったりします。
ただ展示してあるということは、色々な人が弾いているという事には変わりないので、これが気になるという方はとにかく新しい、一番生まれたてのピアノを選ばれるのをオススメします。

さいごに


新品と中古ピアノについてざっくり書いてきました。あくまでも僕の現時点での意見になるという事と、この意見に当てはまらない事もあったりするという事だけご理解ください。

何かご質問などありましたら、お問い合わせフォーム、またはSNSのDMでお気軽にご相談ください。お名前もニックネームやイニシャルでも全然大丈夫です。またピアノを一緒に見に行ってほしい、選定に付き合ってほしいという方もご遠慮なくご相談ください。

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読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦