ピアノの選定とは~新品のピアノを選ぶコツと注意点~

こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪

「ピアノの選定」

この言葉、あまり聞きなれない方もいるかもしれません。
ピアノを購入する際、複数台の同じモデルを弾き比べる事です。新品であっても実際に比べてみると音は結構違うものです。

本記事では、選定のコツや調律師である僕が気を付けているポイントについて紹介していきます。ホール用ではなく自宅用のピアノについてです。中古ピアノを探されている場合でも何かの参考になるかもしれません。

ホール用などの選定については最後の方に少しだけ触れていますので、ご興味ある方は目次から飛んでください。

これから長い時間を共に過ごす楽器選び、この記事が少しでも役に立てば嬉しいです。
新品中古関わらず、ピアノ探しについては相談をいつでも受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください♪

ピアノ探しお手伝いします~自分のお店を持たないという強み~

1人で選ぶのは難しい

自分の感性を100%信じる!という方以外は、ピアノの先生や友人に一緒に来てもらうのがオススメです。離れた場所で聴いてもらったり、代わりに弾いてもらった音を遠くで聴いたりする事によってその楽器に対する印象がよりはっきりします。

ちなみに僕の考える理想はピアノの先生+信頼できる調律師さんの組み合わせです。

子どもだけが弾くというご家族も多いと思うのですが、子どもは基本的に聴きなれている音が出る楽器を良いと感じることが多いです。こういった時も第三者がいることによって違った意見も参考にしながら選ぶことが出来ます。

としさんがピアノを選定する時のポイント【調律師視点】

調律整音の状態も加味しながら楽器の発声を聴く。【表面的な音ではなく楽器そのものの音】

複数台同じモデルが置いてあっても元気に鳴っているもの、柔らかい音色のものがあったりします。これが楽器の個性なのか、それともただの表面的な部分、つまり調律整音の違いなのかを聴きます。

もう少し正確に言えば調律整音などの作業でどこまで良く出来るのかを判断します。

遠くで聴いて音が大きいピアノ【音の伸びを聴く】

近くで鳴っている音よりも遠くに音が飛んでいるのか、伸びていっているのかが同じ新品でも違ったりします。

ちょっとした置き場所で変わることもありますが、小さな音でも遠くまで音が伸びていくピアノを選びます。特に次高音のメロディーラインの音程はとても重要です。

また、「部屋に置くから鳴り過ぎても困る」なんて声もたまに聞きますが、音を抑えるのは出すよりはずっと簡単なので、あくまでも1番響いている楽器を探します。

メーカーの個性が濃い楽器

これは主観による部分が強いのでなかなか難しいのですが、僕の場合はそのメーカーの特徴が色濃く出ている楽器を選びます。

個性=魅力になるので、この部分は個人的にはかなり大切にしています。

タッチは基本変えられる【音重視】

AとBがあったとして「Bの方がトリルが入りやすい」なんて事があったりするのですが、タッチは同じモデルであれば基本的には変えられます。

タッチの事は考えずに音重視で決めるのをオススメします。

最終的な選択は弾き手【最重要!】

ピアノの選定に一緒に行くと、「どれがいいですか?」と聞かれることが多いです。

もちろん「僕ならこれにします」という事も言えますが、基本的には複数台の中から「これはないかな」というピアノを候補から外すのが選定に付き添う人の役目かなと思っています。

最終的には選ぶ方の感性で決めるのをオススメします。

100%本音【妥協無し】

1番重視しているのは100%本音で一緒に選ぶという事。

一緒に付き添っている方と意見が割れるなんて事もありますが、お互いにその意見の理由を本音で話すのが結果的に良い選定に繋がります。

選定会場に良い楽器が無ければ他のところへ行くという選択肢も提案します。

ピアノが届いてからの環境の方がずっと大切

自分が気に入った個性の楽器が見つかったとして、これで終わりかというとそうではありません。

始まりです。

人間と一緒でどんなに才能があっても環境でその才能が開花するかが変わるのと同じで、ピアノも家に届いてからの環境がとても大切です。自宅用のピアノであれば、正直なところ楽器のポテンシャルよりも環境と調律回数の方が今後の音にずっと大きく影響します。

特に新しいピアノの場合、最初は通常よりも多めの調律が必要ですしお部屋の環境も整えてあげないといつまで経っても成長してくれません。

新品のピアノに関する記事、お部屋の環境に関する記事は以下にまとめていますので参考にしてみてください。

新品のピアノはたくさん調律が必要

お部屋の環境について

とある大ホール用のピアノ選定の話(聞いた話)

この記事では家庭用のピアノ選定をイメージして書いていますが、2000人クラスの大ホール用のピアノ選定となると話はまた違ってきます。

新品のフルコンサートグランドが15台くらい並んでいて、そのホールをよく知るピアニストさんと選定会場にいるピアニストさんが1台1台順番に弾いていきます。大ホール用となると、コンチェルトの盛り上がる部分を弾くことが多いです。

そしてパワーが足りない、または魅力的な音はするけどコンチェルトには適さないと判断されたピアノの鍵盤蓋はパタンと閉じられます。

そういうところのピアノは良い意味で手を入れ過ぎずに楽器の個性を尊重した状態になっているので、わりと一瞬で蓋が閉じられるピアノもあります。
そして1時間もしないうちに15台が2~3台に絞られて、そこから時間を掛けてどの1台にするかを決めていきます。

自分が良い音で弾けるピアノを選ばないという選択肢

これはプロの方、またはプロを目指されている方にしか役に立たない、自宅用のピアノの選定に立ち会った時のお話です。

普通ピアノを選ぶ時ってほぼ毎日弾くものなので音の好みで選んだりするんですが、あるレベル以上になると「この楽器から自分は何を学んでいけるのか」という基準で選ぶ方がいたりします。

この時も同じで、ピアニストさんの決めては「妻に似ているから」でした。

どういう事かと聞いてみると、「一番言うことを聞かない」という何ともチャーミングな答えが返ってきたわけですが、その方が仰るには「自分の表現したい事が全て表現出来る時点で、普段弾く楽器としては物足りなくなってしまう。こういう楽器でも音楽を深めていける人はたくさんいると思うけど、自分だとまだそれは難しくて、楽器にも自分の先生になってもらってピアノと一緒に学んでいきたい」との事でした。

この時は僕自身とても勉強になりましたし、この時の奥様の(僕には嬉しそうに見えた)顔が忘れられません。

こんな世界もあるんだなと良い経験になりました。

おわりに

「これにしなさい」と決められたピアノって意外と10年以上経って、「自分で決めればよかった」なんて言ってる方も少なくないです。

ピアノってそうそう買い替えるものではないので、少しでも自分に合った良いものを選びたいですよね。上にも書きましたが、人に決めてもらうのではなく助けてもらいながら最後の一歩はご自身で踏み出すのをオススメします。

この記事がご自身のピアノ選定の役に立てばとても嬉しく思います。

以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。としさん