新品のピアノはたくさん調律が必要

ピアノを選ぶ時、新品のピアノは内部のパーツも含めて全部新しいから安心!と思っている方が多いと思います。確かに長い目で見れば安心です。
ですが、実際にはたくさん調律や調整が必要でそれをしないとあっという間に音や弾き心地がおかしくなっていきます。また新品のピアノに起きやすい不具合も存在します。

本記事では新品のピアノを買った時に最初どの頻度で調律するべきなのかとその理由についてまとめています。これを知っていることで、特定の不具合が起きた時に「あ、これは壊れたわけではなく新品だからだな」と安心できるかと思います。

新しいピアノの理想の調律頻度

調律師としてたくさんの新品ピアノを見てきた経験から言うと、最初の2年間は半年に1回、その後の3年間は8~9か月ごとに1回、5年目くらいから1年に1回で大丈夫なようになります。

重要なポイントとしては、音が変に感じる前に調律をするのが理想という事です。新品のピアノは徐々に狂っていくよりかは、ある地点から“どかん”と狂う事が多いように思います。ある地点を超えて大きく狂ってしまうとその後の調律の保持期間がかなり短くなります。そのためこの“どかん”と狂うギリギリ手前で調律が理想です。

この頻度についてですが、現実には置き場所の環境、そのピアノが納品前にどれだけ調律されたか、音の感じ方(どれくらいで狂っていると感じるか)によって大きく変わります。

楽器店で新品ピアノを買うと思うのですが、このピアノが工場から届いてすぐのものなのか、届いてから3か月またはもっと経っているのかで家に届いてからの狂い方は全然違います。例えば工場から直接家に届いたピアノの場合、最初の半年で少なくとも3回は調律が必要かと思います。

新品ピアノに起きやすい不具合とその理由

ほとんどの不具合の共通の理由。パーツが新しいからです。

え?ってなりますよね。ピアノのメカニック部分はほとんどが木材とフェルト類から出来ています。この部品が湿度などによって膨らんだり縮んだりするのですが、新しい木材とフェルト類はちょっとした湿度変化にも敏感に反応して伸縮を繰り返します。また湿度が一定していても、弾いていくうちに形が変わってきます。ですので、最初は“慣らす”ことが必要になると頭に入れておいてください。

鍵盤が戻ってこない

鍵盤を押すとその先でたくさんのパーツが連動して最終的に音が出ます。このうちのどこかしらの動きが悪くなったり、あるいは鍵盤そのものに使われているフェルトが大きく膨らむとこの症状が出ます。この症状は新品のピアノで最初の約3年間によく起こる症状です。対策は湿度管理です。

調律の狂い

新しいピアノは弦ももちろん新しいです。この弦が新しいとすぐに伸び切ってしまい、音が早く狂ってしまいます。本体の木の部分も最初はたくさん膨らんだりへこんだりするため、弦の伸びと合わさって物理的に調律は安定しません。これはどこまでが許容範囲かも人それぞれなのでなんとも言えないのがリアルですが、最初から1年に1回の調律しかしないと、1年のうちの11か月はずっと狂った状態が何年も続くことになります。最低でも最初の1年目は半年に1度の調律をオススメします。

工場での調整は不十分

これも”え?”って思われる方多いと思います。

工場の出荷時点での調整というのはほぼ数字に合わせて形になっているだけという事がほとんどです。これは各楽器店でお客様の好みに合わせて調律出来るようにという意味合いもあるかもしれません。基本的には楽器店に入ってからもう一度土台から作り直す必要があります。これがされていないピアノを過去に何度も見てきましたが、この土台からやるとなると丸1日かけて終わるかどうかというくらい時間が掛かります。もちろんそのための費用も掛かってきます。

さいごに、新品のピアノとは

これはいつも思う事ですが新品ピアノは人間で言えば赤ちゃん。何かと手が掛かります。ドイツやオーストリアだと新しいピアノとは言わず“若いピアノ”と表現します。
中古ピアノは音なども既に出来上がっているのに対して、”手を掛けながら育てていく”という楽しみは新品ピアノならではの良さですし、より愛着もわきますよね。

新しいピアノをお持ちの方、今ピアノを探していて新しいピアノも候補に入っている方には是非参考にして頂ければと思います。

以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん