ウィーン音大教授とピアノの先生に聞いてみた⑫としコラボVol.2-12

こちらの動画を文字にしたものです。

M:マティアス・トラクセル教授
C:カルメン先生
T:としさん

良い先生とは何でしょうか

M:これについては色々な考え方があると思います。

その先生が「良い」か「良くない」かたくさんの意見があって、それは生徒が何を大切にしているのかにもよるでしょう。

ハノンが一番大事と思っている人にとっては、ハノンなどをうまく使える先生が良い先生になると思います。

私の中での良い先生とは、芸術的でかつ柔軟に多面的な考えが出来る先生です。

「先生」であるべき人とは、多くのものを包括的に身に着けた人、音楽的であること、芸術的であること、またピアノという楽器にも精通していて、しかも音楽の歴史的な背景や、また心理学的な分野も理解している人。心理学はとても重要で、「人間」というものの理解に長けた人・・言い出せばキリがないですね。

もう1つ私の思う良い先生は、生徒の中にある可能性や個性を引き出すことができる人、自分の意見を押し付けたりはしないこと。

良い先生の定義としてこれが最初にくると私は考えています。

C:そしてその生徒がいつか自分を必要としないようにしてあげること。これが私の良い先生の定義です。

学ぶ側にとって、とても大切なことですね

感想

最後の質問にふさわしい内容だったかはわかりませんが、この漠然とした質問にどんな答えが返ってくるのか楽しみにしていました。

人間力の高いとでも言いましょうか、そんな回答でしたね。そしてカルメン先生の「いつか自分を必要としないようにしてあげること」。なんて素敵な先生でしょうか。

今シリーズのとしコラボVol.2、ちょうどお2人と会うタイミングでたまたま思い付いて打診したのがきっかけでした。元々トラクセル教授と最初にお会いした時に「ピアノのための音楽教育学科」という聞き慣れない学科の事を知り、そこでお話を伺ってこんなに専門的な学科があるのかと驚きました。

もちろん音大に行かれている方はご存知かとは思いますが、今回のインタビューで一般の方にもこの学科の事を知って頂けて大変嬉しく思います。

そして何よりもトラクセル教授、カルメン先生の貴重なお話から伝わるお2人の人間としての魅力。これが個人的には何よりも学びになったように思います。

編集しながら、実際にウィーンで子ども向けに使われている楽譜について聞いたり、もっと深いところまで質問出来たらとは思いましたが、これはまたいつかの時にトライしようと思います。

12本の動画、とても長いシリーズになりました。ご視聴頂きましてありがとうございました。

としさん@津久井俊彦