「新品のピアノは調律が狂いやすい」という言葉の違和感、新しいピアノと若いピアノ

  • 2021年12月22日
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こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
日本では横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪

今日は「新品のピアノは調律が狂いやすい」という言葉の違和感について少し切り込んでいきます。

新品のピアノは調律が狂いやすい・・・?

まずこれを聞くと「え、なんで?」って思いませんか?

「新品なんだからそんなはずはない」、ピアノと関わりのない方ならこう思うのが普通です。

ですが新品または比較的新しいピアノは調律やタッチ調整が狂いやすく、最初の数年は1年に複数回の調律が必要というのは事実なんです。

これについては弦が新しくて伸びるから、パーツが新しいから、新しい環境になじむまで時間が掛かるから、など色々な説明が出来なくもないのですが、ピアノの中身のことを知らない方にとっては抽象的過ぎるかなと思います。

こういった時に僕がいつも説明していることがあります。これはオーストリアでは調律師さんが普通に説明していることなんですが、それはピアノが”新しいから”ではなく”若いから”です。

楽器は生きているという話

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他の国ではわからないのですが、オーストリアやドイツでは新しいピアノを表現する時に使うドイツ語はneu(英語のnew)ではなく、jung(英語のyoung)です。

正確に言うと、新品のピアノが売り場に並んでいる時はneu(新しい)、その後行き先が決まって、いざお客様の家に入った瞬間からjung(若い)に変わります。

この表現を車や電化製品に使われているのを聞いたことは僕はなくて、楽器のみに使われているような気がしています。

おそらく楽器は生きているという認識があるからこその表現ではないでしょうか。

新品のピアノというのは言ってみれば生まれたての赤ちゃんと同じだから手が掛かるのは当然。

「弦が新しい」という言葉よりよっぽど抽象的にも聞こえますが、割と皆さん「なるほど」と納得されます。赤ちゃんの時から楽器を育てていけるのが新品の何よりの良さかもしれませんね。

逆にピアノも歳をとるとあちこちにガタが出て来るので、状態を維持しようとするとこれまた手間が掛かります。

人間や他の生き物と一緒、ピアノも生きているということです。

こちらには新品のピアノの調律の狂い方や起きやすい不具合についてまとめています。よかったらこちらも参考にしてみてください。

新品のピアノはたくさん調律が必要

読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦