調律師から見たショパンコンクール②

  • 2021年11月6日
  • Blog

こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
日本では横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪

コンクール期間中多かったのが、「ピアノについてどう思われますか?!」というDMです。

これについては立場上答えるのが本当に難しく、配信と現地で鳴っている音は絶対に違うというのもあってお答えするのは難しいですという返答をさせて頂いていました。

今回のショパンコンクールでは運営側はYouTube配信に力を入れて、映像はもちろん音の収録に関しても一流の方々が関わっていたはずです。

それでも配信は配信で、YouTubeというプラットフォームで再生しているのがスマホ、聴いているのはイヤホンとなると現地で鳴っている音とは遠くかけ離れていきます。これは悪くなっていくのではなく、違うものになっていくと言った方が正しい気がします。

そして何よりもこれはコンクール。ピアニストさん達は配信のために弾いているのではなく、コンクールの審査員にどう聴こえるのかを考えて演奏されています。

仮に審査員がYouTubeのみで聴いて審査するというルールであればコンテスタントたちは全く違う演奏をされると思います。それくらい本気で挑んでいるという事です。

とはいえ、コンクールがリアルタイムでこんなに綺麗な映像と音質で聴けるようになるのはとても面白いことで、SNSなどで議論などが起こりながら盛り上がること自体はとても良いことだと考えています。

「注目されること」はクラシックの演奏家が”演奏”の仕事をしていく上ではとても大切ですよね。こういった配信のおかげでファンがついて、そういった方々の応援で若いピアニストさん達が本番の経験をどんどん積まれていくのは嬉しいことです。

調律師というプロとしての意見がSNSで簡単に広がっていってしまう世の中、YouTube配信のピアノに関するご質問に関しては今後も気を付けつつも、こういった配信がどんどん広がっていってクラシック業界全体が盛り上がることを願います。

読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦