本物のピアノを買ってくださいとピアノの先生に言われたら。~電子ピアノとの違い+あえての生ピアノのデメリット~

こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪

先生にもよりますが、お子様がピアノを習い始めて上達してくると言われるかもしれない言葉です。

本物のピアノっていくらするんだろう。
家に置けるのかしら。
騒音問題は?
なぜ電子ピアノだといけないのか。

今までたくさんのピアノの先生方のお宅に調律に伺ってきましたが、ほぼ全ての先生が生ピアノを推奨されていました。そして理由を伺うとどの先生も同じ事を仰っています。

もちろん騒音などの住宅事情もありますし、そもそも安い買い物ではないのでそう簡単には言えない事ですよね。

本記事では、僕が先生方から聞いた話と合わせて、あえて“生ピアノのデメリット”にも触れながら本物のピアノと電子ピアノの違いについてまとめています。

実際に電子ピアノから生ピアノへ買い替えられた方のお話もたくさん聞く機会がありましたので、これらも合わせて書いていきます。

電子ピアノと生ピアノのどちらにしようか迷われている方の参考になればと思います。

グランドピアノとの違いに関しては別記事にまとめています。

グランドピアノにしてくださいとピアノの先生に言われたら。~アップライトピアノとの違い~

※本記事では、ピアノの先生と同様に生ピアノをお薦めする観点から書いています。電子ピアノの良い部分、それぞれのメーカーによる違いについては後日別の記事にまとめます。

なぜ先生は本物のピアノを薦めるのか

結論から言うと電子ピアノの生徒さんは続かない、つまり辞めるからだそうです。

生ピアノを持っていても辞めてしまうお子様はいますが、その割合が全然違うという話をよく聞きます。

ピアノが上達してくると色々な曲を弾くようになってきますよね。そしてピアノの本当の楽しみというのは楽譜通りに鍵盤を押さえる事ではありません。

曲には必ずストーリーのようなものがあって、弾き方によって明るい音や暗い音、あるいは楽しい気分や悲しい気分のように弾けるようになるとお子様は楽しいと感じます。

これが電子ピアノの場合、元々内臓されている音がスピーカーから鳴るだけなのでこれらの表現が出来ず、結果的につまらなくなってしまいます。

ぬりえをしていたとして全ての部分の色が決められていてその通りに塗るだけなら、お子様は当然飽きてしまいますよね。

電子ピアノを使って表現ではなく速弾きを頑張るお子様もいらっしゃるみたいですが、いつかは飽きてしまいます。

ピアノの先生は生徒さんにこの“音楽”を表現する楽しさを伝えたいという気持ちがあり、そのためには表現出来る楽器、つまり本物のピアノをお薦めしたいとなるそうです。

電子ピアノと生ピアノの違い

違いは2つです。
・何が振動して音が出ているのか。             
・鍵盤から先の構造とタッチ(弾き心地)。

振動しているものに関しては皆さんの想像通りです。
電子ピアノはスピーカー、生ピアノは弦と楽器全体です。
生の振動を直接感じられるかどうかが大切なポイントになってきます。イチゴ味よりイチゴを食べさせたいですよね。

鍵盤から先の構造については最近の電子ピアノはかなり進化してきていて、より生のピアノに近いタッチにはなっています。ですが、このタッチというのは音とセットになっているものなので、どんなにタッチが近付いても別物になります。

この後の実際に買い替えられた方の話にも出てきますが、先生のところのピアノと違ったり、発表会や学校で弾くピアノと違うとお子様はやる気が落ちてしまいます。やる気を保つためにも生のピアノの音とタッチは必要になってきます。

実際に買い替えられた方のお話

ここでは実際に聞いた話を箇条書きに書いていきます。

シンプルにピアノの前に座る時間(練習時間)が増えた。

これはシンプルに楽しいからです。下にも書いてありますが、褒められる→モチベーションUP→よりたくさんピアノを弾く→上達する→褒められるという理想のループです。

ピアノで遊んでるみたいに見えます。

「練習」だとやる気が出ませんが「遊び」だと楽しいですよね。遊んでいるうちに勝手に上達していくのはピアノ上達の最強パターンです。

先生のところで褒められる事が多くなってやる気が増えた。

先生方皆さんが仰るのは、ピアノを替えただけで劇的に上達するという事。当然褒め方も変わってお子様にもちゃんとそれが伝わります。

毎年発表会で自分の子供だけ男の子なのに音が小さいと感じていたが、今年の発表会では遠くの自分の席までしっかりと音が聞こえた。

意外とよく聞く話です。シンプルに指に力もついてちゃんとした弾き方というものが自然に学べるんだと思います。

以前より堂々と弾くようになり、合唱コンクールの伴奏に選ばれた。

自分も昔伴奏を目指して頑張っていたので嬉しかったです。やはり音が大きく堂々としていたのが要因ではないでしょうか。

友達に本物のピアノいいなぁって言われて嬉しそう。

これもよく聞く話です。友達がよく遊びに来てくれるようになったという話も。

辞めたいって言わなくなった。

先生に褒められるからです。やはり楽しいとお子様はピアノで“遊ぶ”ようになります。

子供に買ったのに、なぜかお父さんがピアノを始めて子供に習っている。

これはお子様にとっては理想的なパターンです。あるお父さんはお子様と同じ先生のところへ通い出してタバコを辞めたそうです。

子供の頃習っていてブランクが20年以上あったが、今内緒でたまに弾いている。

よく聞く話です。ちょうどお子様がブルグミュラーとか弾いていて、楽譜が置いてあると懐かしくてなんとなく弾いてみたくなるそうです。

エピソードはまだまだありますがこれくらいにしておきます。
個人的にはご両親が少し弾いてみようと思うという話が素敵だなと思います。

生ピアノのデメリット

電子ピアノと比較した際の生ピアノのデメリットは3つを書いていきます。

騒音問題

間違いなく1番の心配事です。

ピアノの防音対策については別の記事にまとめますが、まずは今お住まいの場所がピアノ可物件かどうかを必ず確認しましょう。また演奏可能な時間などの明確なルールがあるのかなど細かく調べるのをオススメします。

中にはサイレント機能(ヘッドホン機能)がついているのがピアノを置く条件のマンションもありました。

ピアノの防音対策の記事はこちら

重量とサイズ

アップライトピアノの重さは200~270キロ(成人男性3~4人)です。

電子ピアノと比較すると重たいですが、畳の四隅に1人ずつ立っているのとほぼ同じと考えると補強の必要はほぼありませんが、不安な方は住宅業者さんにご相談されることをお勧めします。

あと電子ピアノのようにちょっと移動するというのはほぼ不可能になります。

サイズは特に奥行が違います。

生ピアノの奥行は55~65cmで、電子ピアノは50センチ以下、中には30センチ以下のものもあるようです。

また高さの違いからくる部屋の圧迫感はなかなかのものです。

お金

まずなんといっても生ピアノは大きくて重たいので、ちょっとした移動(隣の部屋に移したい)という時にも、ピアノ専門の運送屋さんにお願いしなくてはなりません。ほんの数メートルでも1万円くらいします。

また調律という維持費が発生します。

この調律をしないとピアノの音はどんどん狂っていき、また鍵盤は弾きづらくなっていってしまいます。

調律が最低でも年に15000円くらいでしょうか。

たくさん弾いて部品が摩耗していくと、いずれは部品交換が必要になり別途費用が掛かってきます。

そして上にも書いた騒音対策です。苦情がきた日には騒音グッズで簡単に何万円かは飛んでいきます。

以上が生ピアノのデメリットになります。

生ピアノを購入される際にはこれらのポイントも考えると、より良い選択ができるのではないかと思います。

今ある電子ピアノをどうするのか

もし買い替えた場合、今ある電子ピアノの場所にピアノを置かれる人が多いかと思います。

ではこの電子ピアノをどうするのか。方法は次の3つです。

・買い取ってもらう
・引き取ってもらう
・持っておく

買取についてですが、電子ピアノはいわゆる電化製品になるためほぼ値段はつきません。

業者での買取相場は買った金額の約0.2%と言われています。時間があればオークションなどの方が高く買い取ってくれるはずです。

また機種によっては、お金を払って引き取ってもらわなくてはなりません。

処分料として1万円ほど掛かることもあります。知り合いや友人に無料で譲るのが理想かもしれません。

その場合も相手に気を使わせないために、処分すると1万円くらい掛かるらしいという事を伝えるのもありかもしれません。

最後に持っておくという方法。スペースが許されるのであればとても理想的です。

電子ピアノは夜遅くてもヘッドホンを使って練習できますし、兄弟や姉妹がピアノを習った時にも同時に練習することが出来ます。

持っておけばよかったという話はたまに聞くので、もし別の部屋に置けるのであれば手放さないのも1つの方法です。

最後に

ここまで「生ピアノを買ってくださいとピアノの先生に言われたら。」というテーマについて書いてきました。

ピアノの先生方、実際に買い替えられた方々からのお話からしてお子様にとっては生ピアノの方がモチベーションが上がるというのはほぼ間違いない事がわかります。

ただピアノというのは大きな買い物ですし、ピアノを家に置くために考えなくてはならないポイントもいくつかあります。

電子ピアノで練習しながらレッスン以外にピアノ室を週1回レンタルするなど、それぞれのシチュエーションに合った判断があるはずです。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん