こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪
日本で働いていた時に防音対策について数多くの相談を受けてきました。その中でも特に多かったのがやはりマンションにお住まいの方からでした。
本記事ではマンションでのグランドピアノの防音についての基本的な考えと、実際によく使われている防音グッズを紹介していきます。グッズによっては金額もかなり変わってきますので、それぞれリンクを貼っておきます。
グランドピアノの防音対策グッズはアップライト用よりも値段が高いので、なるべく費用を抑える方法についても書いていきます。
オススメ防音グッズショップ ”ITS”
正式な名前はイッツ・ア・ビューティフル・ミュージックです。
防音や耐震などについて聞かれた時はいつもこのお店をオススメしています。
ピアノを持ち上げるジャッキの貸し出しもあるので、運送業者に依頼する事なく防音グッズの設置が出来ます。
サイズ・効果・価格が一目でわかる表があったりするので、正直なところ本記事よりわかりやすいです。。
このITSさんのHPを見つつ、迷った時に下に書いてある内容を参考にして頂くのがいいかなと思います。
its a beautiful music防音の目的
アップライトピアノと同じで演奏を楽しむためです。
グランドピアノは何かしらの防音対策をしないと高確率でご近所さんから苦情がきます。そしたら演奏を楽しむどころではなくなってしまうはずです。防音はご近所さんのためでもありますが、同時にピアノを弾くご自身のためにもとても大切です。
防音グッズの選び方
グッズ探しの注意点が1つ。ネットで調べると〇〇デシベルが●●デシベルになりましたみたいな数字を使って商品が紹介されています。この数字と現実の漏れ具合は必ずしも一致するものではありません。最強の防音対策である防音室ですら、数字を計ると小さくなっているはずなのに音が漏れて苦情が来る事もあるのが現実です。防音で大事なのは数字よりもリアルです。ここで紹介するのは僕が調律に行っていたグランドピアノのお持ちのお客様が実際にされている防音対策になります。ものによってはピアノの音が少し変わってしまうグッズもあるので、このデメリットについても書いていきます。
ここに紹介する以外にも防音対策はあるはずです。ピアノの先生や調律師さんにも聞いてみてくださいね。
防音のポイント
アップライトピアノの時はお部屋のどこから音が漏れていくのかを知った上で対策するのが効果的でしたが、グランドピアノの場合には可能な限りした方が良いと思います。
対策すべきポイントは2つです。
床
防音対策のために屋根を閉めて弾いている人が多いはずです。ですがグランドピアノは下方向にも皆さんが思っているより音が出ています。屋根を閉めて弾くと音が小さく聴こえるため無意識に強く弾いてしまいます。すると下方向への音はより大きくなり、床対策をしていないとより大きな振動が階下へと伝わっていきます。マンションによっては床対策をして屋根を開けて弾いた方が振動が伝わらないというパターンもあります。
窓
窓の対策はアップライトピアノよりもかなり有効なようです。グランドピアノは物理的に音が大きいため窓を閉めていても、サッシから振動が上下両隣の部屋へと伝わっていきます。
例外
換気扇
床と窓を対策しても音が漏れが大きいという時は換気扇というパターンがあります。
換気扇用の防音グッズは無いのですが、使っていない換気扇の穴の場合には塞いでしまうのもありです。
調律師オススメ防音グッズ
床対策用
インシュレーター
ピアノのキャスターと床の間にあるお皿です。これをゴム製のものに変えて振動を吸収する原理です。防音用インシュレーターのデメリットはペダルが高くなる事です。かかとを置く場所に何か薄い板が必要になることもあります。
大きなピアノや輸入ピアノの場合キャスターのサイズが違う時があるので、購入の際にはお持ちのピアノに対応しているかを確かめてください。
防音パネル
インシュレーターではキャスターから伝わる床への振動を軽減できますが、響板からの空気振動に対しては防音のパネルが必要です。このパネルとインシュレーターの組み合わせによって、床に伝わる振動はかなり抑えられます。
この防音パネルのデメリットは、パネルの素材がカーペットだった場合には音が変わります。ソフトになるので防音のためを考えるとメリットですが、一応知っておいた方が良いと思います。
【its】スタイリッシュなデザイン!8色&3サイズが選べるピアノアンダーパネル “ピアノステージGP” PIANOSTAGE GP【断熱防音仕様+HyBrid(耐震インシュレーター併用可能タイプ)】(検:床補強/防音マット/地震対策/床暖房/ビッグパネル)手作り防振パネル
ピアノの形になっている必要はないという方は、ホームセンターで売っている材料で防振パネルを作ることが可能です。ピアノに十分な面積の厚さ1.5cmくらいの木の板を買って、その下にお風呂用保温シートを貼り付ければ完成です。この板は繋がっている必要はありません(もちろん繋がっていた方が性能は良いです)。おそらく1万円くらいで出来るのではないかと思います。
より効果がほしいという方は、この上にタイルカーペットを敷き詰めるという手もあります。
床から上に向かって、床→保温シート→木の板→タイルカーペット→防音インシュレーター→ピアノという順番になります。
設置してみると意外と見た目悪くないです。
注意としては角が角ばっているので、指などぶつけないように注意する必要はあります。
あくまでもDIYになるので、性能重視という方は正規のグッズを買われるのをオススメします。
スーパーミラクルソフト
ピアノの裏に蓋をしてしまおうという発想です。これはかなり効果はありますが、音色もかなり変わります(感じ方の個人差あり)。値段も高いのでまずピアノの裏のスペースに布などを入れてみてどれくらい音色が変わるのかを確かめてから購入を検討されるのをいつもオススメしています。これは最終手段かなと思います。
これもやろうと思えば何か下に物を入れてその上にホームセンターで売っている板を置くという方法があります。設置のためにピアノを持ち上げたりする必要がないのでDIYでされている方も少なくないです。ただ、性能はやはり本物が段違いに良いです。
【its】着脱も楽々!グランドピアノの防音パネルセット「スーパーミラクルソフトGP」/1型〜3型(YAMAHA C1〜C3、KAWAI RX1〜RX3)対応サイズ窓対策グッズ
いわゆる2重サッシです。窓の近くに置いてあるピアノにはかなり効果的です。
ただ値段はピンキリみたいですね。業者さんとのやり取りになります。
業者さんを入れるのはちょっとなという方にはこういうものもあります。値段はかなり高いですが、賃貸で窓変えられないという時などは有効です。
高性能防音パネル 窓用ワンタッチ防音ボード 1枚タイプ 幅466〜925mm 高さ1206〜1505mm電車や車の騒音対策に効果的! 防音 窓 楽器思ったより効果のないもの
アップライトピアノと同様です。防音カーテンと防音カーペットはもちろん効果はありますが、値段からすると弱いイメージがあります。ただ少しでも防音性を高めたいという方や、カーテンの場合には窓に比べれば手軽にできるので、業者さんが来るのはちょっとという方にはありかもです。
防音室
最も効果のある防音対策はやはり防音室です。本当に気兼ねなく弾きたい方や、ピアノのレッスンに使いたい方は防音室も視野に入れながら検討される必要があるかもしれません。効果は抜群ですが価格も桁が違うのがネックです。
さいごに
ここまでマンションでのグランドピアノのための具体的な防音グッズについて書いてきました。最初にも書きましたがグランドピアノはシンプルに音が大きい、そしておそらく弾く量も多いし、曲もアップライトピアノで弾かれているようなものよりは派手なものもあったりするでしょう。そのため、可能な限り防音対策をしないと苦情が来て、せっかくのグランドピアノをいつもびくびくしながら小さ目に弾くことになってしまいます。
そしてアップライトピアノの時も書いたのですが、現実には防音の1番の対策はご近所付き合いです。これを言ったら元も子もないのですがこれがリアルです。とあるピアノの先生は毎朝マンションの周りの掃き掃除をされていて、同じマンションにお住まいの方ととても良い関係を築かれています。もちろんここまでされる方は稀ですが、こうしたコミュニケーションが結局は何よりも大切になってきます。
防音については普段来ている調律師さんが相談に乗ってくれるはずです。その上でこの記事が防音対策の役に立てば嬉しいです。
以上になります。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 としさん