ウィーン音大教授とピアノの先生に聞いてみた⑨としコラボVol.2-9

こちらの動画を文字にしたものです。

M:マティアス・トラクセル教授
C:カルメン先生
T:としさん

お母さんが家で子どもに練習練習練習と言うことについてどう思われますか

C:程度にもよりますが、ご両親が生徒を見守ってくれることはとても良いことだと思います。

M:私も同じ考えですが、ただしそれはご両親の野心からくるものであってはならないと思います。

子どもは傷つきますし、これに反発してすぐに辞めてしまいます。

親御さんが子どもにやらせたいことと、その子本人がやりたいことが違っていないかどうかは気を付ける必要があると思います。

C:私の場合は親御さんにお子さんが練習しているかどうかを電話して聞かないといけない事が多いです。事情は色々ですね。

生徒が先生の弾き方に似てきてしまうことについてどう思われますか

M:基本的に子ども達はお手本として先生の真似をしようとするものです。それは音大生であっても同じように、先生の教えが本人に残るものです。

これについては自然なことだと思います。もちろん教師が生徒の考え、感じ方を尊重出来ている場合です。

いずれにせよ生徒は自分でやるべき事を見つけるでしょう。成長していく中のある時点で真似をやめて自分自身の演奏法を見つけるものです。

ですので真似をすることについては心配していません、こういった時間があることは普通のプロセスです

またどちらにしても完璧なコピーは不可能です。気にする必要はありません。

大人になってから初めてピアノを始めるのに最も大切なことは何ですか?またこどもと違うところはどんなところにありますか?

C:まず身体は子どものようには動きません。

また好みや考え方の面でももちろん違うので同じような曲は使わないでしょう。

ですが、楽譜を読むことはもちろん理解力も高いですし、何よりモチベーションが高いですね。

M:その一方で頭をたくさん使うことによって身体の動きに影響が出る時があります考え過ぎると力みやすくなります。

C:より苦労が多くなりますね。

M:子どもの場合はこういったことは起きません。

T:ですがピアノを始めるという事に関して「遅過ぎる」という事はないですよね。

M:人生において新しいことや何か違うことを始めてより成長していくことに遅過ぎるということはありません。

人生において何かが「遅過ぎる」などという考えを持つ事自体、ナンセンスです。

私はこの考えは絶対に譲りません。

大人になってから何か新しいことを始める時には、そもそもの考えも目的も、全く違う状況下にありますよね。

7歳と50歳とでは、物事を始める事に関して全く違うことは明らかです。

絶対音感や相対音感についてどのようにお考えですか?

M:絶対音感はそれほど重要ではないと私は考えています。

それよりは相対音感の方が今までの経験では役に立ちました。

絶対音感は音のキャラクターと色が直接的にわかるそうですが、有名な作曲家と言われている、例えばスクリャービンは絶対音感を持っていなかったそうです。

これについてはもちろん確証はありません。

ですが絶対音感は過大評価されていると思います。即興演奏の時には絶対音感を持っていれば多少の助けにはなるでしょう。

ですが音楽を理解することにはあまり関係がないことのように思います。音楽の深い理解のためには別のものが必要なのです。

C:子ども達と最初から相対音感の訓練をすることはとても大切です。

音程を聴きとれること(何度かわかること)、歌えることはとても大切です。

動画はあと4本くらいの予定です!
読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦