“良い”道具から教わること

こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪

今日は相当マニアックなテーマ、ピアノ調律師にとって1番大切な道具、最近新しく迎えたチューニングハンマーについて感じたことを。

とても嬉しい気持ちでいっぱいなので、「ちょっと誰でもいいので話聞いてください」みたいなテンションで書いていきます。

チューニングハンマー

上の写真は最近僕が持ち歩いているチューニングハンマーです。

ベテランで毎日決まったメーカーのピアノを調律する、いわゆる最前線にいる調律師ともなれば全く同じものを2本持ち歩いていたり、金属部分の大きさだけが違うものが工具カバンに入っているんだと思いますが、僕の場合は様々な環境で色々なピアノを調律するためいつも多めに持ち歩いています。

※1850年くらいより前の時代のピアノ専用チューニングハンマー

この道具はいわゆる「音程」を合わせるために使うのですが、素材や形が変わると不思議な事に調律後の音色からタッチまでピアノの雰囲気がガラッと変わります。
(正確に言うと、僕はこういった道具の変化に結果が影響されやすいタイプです)。。

お客様によっては”ピアノを買い替えたくらい変わるから”という理由で音が狂っていなくても季節ごとに毎回違うハンマーで調律してほしいと仰る方も。

“良い”道具から教わること

ひびきピアノ工房

さて、最近また新しいチューニングハンマーを出迎えたわけですが、この衝撃たるや。

これ実は日本のある調律師さんが作っているのですが、この方のチューニングハンマーと整音用の道具は世界中の有名ホールで活躍されている調律師さん達、そしてピアニストから絶大な信頼を得ています。

木材や金属の素材による音の傾向を熟知されていて、こちらの要望なども聞いてくださった上で色々なアドバイスを頂きながらいつも選んでいます。

https://www.hibikipianokoubou.com/

新しいチューニングハンマー

実は数年前に初めてこの素材のハンマーを試した時から明らかに他と違う雰囲気を感じたのですが、その時は別の物を購入しました。ちなみにこの時に買ったハンマーもお気に入りで、特にオーストリアで大活躍してくれています。

そこから少なくとも5年以上経って、調律をしていない時、何なら道を歩いている時にも当時感じた感覚を強く思い出すようになりました。

なんというか、「”今の自分に絶対必要だ”という感覚」とでも言いましょうか。

この感覚は実際正しいものでした。

言葉の表現は人それぞれですが、僕の感覚ではこの新しいチューニングハンマーの「何かを要求してくる感」のレベルがまるで違います。それは自分の技術であったり、またピアノの状態(これも自分の技術と言ってしまえると思います)など、これらに合わせて他のハンマーが「音を一緒に作っていってくれる、自分の足りない部分を補って助けてくれる」のに対して、新しい方は「これだとお話になりません。もっとちゃんと調律調整しなさい。」と教えてくれる、そしてそれをクリアすると今までよりずっと遠くに着地出来ている、そんな感覚があります。

※ピアノ調律師さんにしか読んでも伝わらないようなそれぞれの素材や組み合わせと音との関係についての、いわゆるゴリゴリのレビュー記事も今度書こうと思います。

“良いピアノから良い音が出るようにするのが1番難しい”という話

話は変わりますが、お客様からよく頂く質問で「どんなピアノの調律が難しいですか?」というものがあります。

僕はいつも「良いピアノから良い音が出るようにするのが1番難しいです」と答えています。

これはあくまでも個人的な考えで、”来年違う事を書いていたらすみません”ですが、良いピアノほど調律師への要求は高いものになっていきます。この楽器の要求に応えられないと、本当に手も足も出ない、作業が進めば進むほど楽器が輝きを失っていくみたいな事も起こるわけです(経験者)。。

何が言いたいかというと、

良い道具を持つとそこから得られることは本当に大きいという事。

そしてもし今調律師を目指している、または専門学校に通っているという方がこれを読んでいれば、普段使う道具には迷わず投資してほしいという事。

良い道具から得られる技術、積み上がっていくもの、そして将来のお客様からの信頼はより大きなものになるはずです。

あとシンプルに仕事が100倍楽しくなる。

良いものは良い。

読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦