ウィーン音大教授とピアノの先生に聞いてみた⑤としコラボVol.2-5

こちらの動画を文字にしたものです。 今回の動画はお2人のチャンネルで公開されています。
※英語字幕が付いていた場合には、画面上の字幕ボタン(CCという部分)を押して字幕をオフにして見てください。

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M:マティアス・トラクセル教授
C:カルメン先生
T:としさん

3歳くらいの小さな子供を教える時のコツ。特に音符を見る事を好きにさせる方法を知りたいです

C:オーストリアには5歳までの子どものためのリトミックのクラスはあります。

ただ楽器を学ぶことはしません。3歳の子どもにとっては早過ぎると思います。5歳まではオルフの楽器や歌ったり、あるいはダンスのように身体の動きで音楽を感じることが中心になります。

ですが楽譜を読ませることはしません。

もちろん特別な才能を持っている例外はありますが、普通は3歳の子どもにとっては楽譜を読むのは難しくて続かないと思います。

M:私は3歳の子どもを教えることはしていません。ですが、3歳で数字も理解していない子どもに楽譜を読ませるようなことをさせるのはナンセンスだと考えます。

早い時期に無理をすると 創造力やファンタジーは失われてしまうと思います。またこういったことを身体は受け入れられず身体そのものも硬くなってしまう恐れがあります。小さな子どもたちはこういったことを自分のものにすることは出来ません。

3~4歳で楽譜を読むことは意味がありません。

C:リズムを感じることは小さい子どもとも出来ます。少しずつ拍を感じられるようになることはとても大切です。

5歳くらいから少しずつ楽譜を読むことを教えますが、最初は音が上にいくと楽譜がどう見えるのかのように、絵を見るようなかたちで教えます。ただし1つ1つの音符を見させることはしません。

M:あくまでも視覚的に、見せてゆくのです。

ピアノを弾く練習をはじめる年齢や段階はいつ頃が1番良いとお考えですか?弦楽器はサイズの小さいものがありますが、ピアノにはありません。3歳から始めると手も小さいし柔らかいので、楽譜を見て弾く、というのはある程度手の骨が出来てからの方がいい気もしています

C:骨格の問題ではなく単純に小さ過ぎます。5~6歳ではじめるのが理想だと私は思います。

子どもは吸収力があり、多くのファンタジー、そして喜びを感じています。

そして5歳にもなれば3歳の子どもより理解力もあります。

M:ただ先ほど話した通り、年齢を決めたくはありません。子どもの成長はケースバイケースなのでこれを言うのはとても難しいです。何歳からと決めてかからず大体ということです。

T:子どもが「弾きたい」と言った時にはいいですよね。

C:その場合はもちろんOKです。

M:そして子どもが自分でやりたい楽器を選ぶことが大切です。親御さんがこれを弾きなさい、ということは言うべきではありません。

その子供が自分で何を望んでいるのかに察してあげないといけません。

感想

今回は一番最後の会話から触れていきますね。

としコラボの1本目で少しだけ触れた”公立の音楽学校”というのがヨーロッパのそれぞれの街にありまして、ピアノを習う子どもの多くは普通の学校が終わった後にここへ通います。もちろん個人のピアノの先生や私立の音楽教室(例えばヤマハなど)もあります。

この音楽学校というのはピアノ以外の楽器を習うことが出来るのもあって、例えばヴァイオリンやトランペットなどを習い始めるハードルが日本に比べてかなり低いように思います。ピアノを習いに行きながら、他の部屋では別の楽器を習いに来ている人たちがいるので、途中で他の楽器に変えるなんてこともあるそうです。

こういった事情から、「子供が自分のやりたい楽器を自分で選ぶ」という発想になるわけです。

今回の3歳の子どもに楽譜を読ませることについてですが、これは文化の違いもあってこういった考えになるんだと思います。オーストリアでは何かを強制させることそのものに対して、大人も含めて嫌う文化があるように思います。

仕事においても「こうやりなさい」ではなく、「自分ならこうするよ」みたいなかたちで指示を受けることが多いです。

今回のインタビュー全体で、ピアノ関係なく根本的な文化の違いというものもはっきりと見えた気がします。

以上です。まだまだ続きます!

読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦