“調律師によるガチ構造説明シリーズ”の使い方

こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
横浜を拠点にピアノ調律師やってます♪

YouTubeとしチャンネルでガチ構造説明シリーズというものをしておりまして、現在8本の動画を公開しています。内容としてはピアノの内部について演奏者と楽器の構造、この両方の視点から解説しています。

この動画を出した時からたまに頂く意見として、「内部の詳しい構造を知ったところで、演奏中にそんなことを考えている暇はない」というものがあります。

今日はこれについて僕の考えを書いていきます。

目的は音楽だけに集中できるようになること

実は1本目の動画でも話している事なのですが、構造説明シリーズの1番の目的は「ピアノの中身を意識して弾けるようになること」ではなく、「ピアノの中身を全く考えずに弾けるようになること」です。

もちろんこの目的までの通り道には「ピアノの中身だけを意識して弾く」というポイントはあるかもしれません。ですがこれはあくまでも通過点に過ぎません。

【例】右ペダルの動画

7本目の動画で右ペダルを取り上げています。

ペダリングの最終的な目的が何かと考えた時に、決まったところで踏むのではなく、「その時の音を聴きながらタイミング、踏む量を無意識にコントロールできる」ということが言えると思います。

これは世界で活躍するピアニストが皆共通して言うことですが、”練習は本当にたくさんの事を考えるのに対して、本番は身をゆだねる”、極端な話何も考えないなんて言っていた方もいます。

これに対して、本番では普段弾いていない楽器・会場で演奏しなければいけないという、ほとんどのピアニストが持つ宿命が待ち構えているわけです。

こういった環境で、いかに何も考えないで演奏することが出来るか、音楽に身をゆだねて、音楽だけに集中することができるのか。

このゴールに向かうために必要なものの中の1つが構造の知識ということになります。これは僕が主張しているわけではなく、世界で演奏されているピアニストさん達は大体同じような意見を持っている気がします。

弾きづらいピアノでも聴衆にはわからない

これを調律師の立場で言うのも変な話なんですが、弾きづらい、あるいは音が良くないピアノで本番を迎えないといけないというシチュエーション、ピアニストをしていれば必ずあるはずです。

日本ならそこまでひどいという事は少ないと思うのですが、ヨーロッパに行くと有名なホールであっても与えられる楽器はガタガタなんて事はしょっちゅうです。

こんな時に、ピアノが悪いなんて事情は聴衆には伝わらないですよね。というよりはそれが伝わらないようにいつも演奏されているピアニストさんを本当に尊敬しています。

こういった時に楽器に慣れるという事が求められると思うのですが、1秒でも早く楽器に慣れて音楽だけに集中する環境を作る、これにも楽器の構造の知識は役に立つそうです。

おわりに【今後の構造説明シリーズ】

このガチ構造説明シリーズ、現時点での計画では合計で30本になる予定です。

撮影は全てオーストリアに行った時にやりたいというのがあるので、今は8本で止まっています。今後も色々な方からのお話を参考に1ミリでも役に立つような動画を作っていきます。

今後ともよろしくお願いします。

読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦