
こんにちは!としさん@津久井俊彦です!
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ヨーロッパ製の中古ピアノを探していると、販売店のホームページや店員さんの説明で時折耳にする「オリジナル」というキーワード。
この場面では多くの方が、「当時のパーツが残っていて良い音がしそう」「希少価値が高そう」といった、ポジティブな印象を持つことが多いのではないでしょうか。ところが、オーストリアやドイツなどヨーロッパの現地でこの言葉を聞くと、少し違ったニュアンスで使われていることがよくあります。
本記事では高級中古ピアノを探す際に使われるオリジナルというワードについてまとめていきます。
オリジナル=「要修理」のサイン?

まず結論から言いますと、ヨーロッパでは「オリジナル」とは単に“元の部品のまま”という意味で使われることも多いです。ですのでそこには=消耗部品が古いままだから、今後大きな修理が必要になる可能性がある、というニュアンスが含まれている場合もあります。
たとえば、「このピアノは中身(ハンマーや弦)がオリジナルだから、他の楽器より安いよ」といった説明や、
「ハンマーやアクションはオリジナルだけど、まだとても良い音が出ていて長く使えそうだからそのままにしてあるよ」といった使い方も、現地ではよく耳にします。
修理されていれば良いのか?その答えは…

では、「部品が交換されていれば安心」かというと、これもまた一概には言えません。
そこには“上手に修理されていること”という条件が必要になります。
実際には、修理やオーバーホールのクオリティが低かったために、ピアノ本来の魅力や能力が損なわれてしまったという例も少なくありません。
そのため、そういったケースを知っている方の中には、「部品が交換されていると音が悪くなってしまうのでは…?」という印象を持ってしまう方もいるのです。
「オリジナル」は必ずしも悪ではない

ここまで“オリジナルの状態”についての注意点を挙げてきましたが、もちろんオーストリアやドイツでも「オリジナル」がポジティブな意味で使われることはあります。
つまり、「オリジナル=悪い」というわけでは決してありません。
重要なのは、そのピアノがどのような状態で、どれくらい長く良い音で弾き続けられるかという点です。
ピアノは「音色+中身」で選ぶ楽器

ピアノという楽器は、長く人生のパートナーとして寄り添ってほしい存在ですが、調律師の目から見ると多くの消耗部品で構成されている“メンテナンスが必要な機械”でもあります。
高級中古ピアノを選ぶときには、まず音色が自分に合っているかという点が最も大切ですが、それに加えて
- このピアノは今後どれくらい良い状態で弾き続けられるか
- 修理が必要になるタイミングはいつ頃か
- 修理費用を含めた上で、価格は妥当か
といった視点も、ぜひ一緒に考えていただきたいポイントです。
ピアノ選びは一期一会です。気になる楽器があれば、ぜひ調律師などの専門家と一緒に見ていくことで、長く信頼できる一台に出会える可能性がぐっと高まります。お店に足を運んだ際に調律師さんを見かけた時には積極的に話しかけましょう。
読んで頂きましてありがとうございました。
としさん@津久井俊彦